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今後ブレークが予想される「360度カメラ」とは【使用した体験談】

目 次

1. 360度カメラとは

360度カメラとは360度の全方位を一度に撮影できるカメラです。

「全方位カメラ」や「VRカメラ」とも言われています。

通常のカメラだと撮影可能は画角が100度強程度なので,360度全て撮影できるカメラはものすごいポテンシャルを秘めています。画像だけでなく,360°の映像も撮影可能です。

カメラの下側も含めて全ての方向を撮影できる「全天球」とカメラの下側は撮影できない「半天球」があります。

【全天球・半天球の違い】

全天球カメラは,魚眼レンズが2つあるタイプで,個人が使用する場合はほとんどが全天球カメラです。全天球は全ての範囲が撮影できる反面,撮影時に下側に三脚等が映りこむことになり,場合によっては撮影後に写真を補正する必要があります。

一方,半天球カメラは,レンズが1つのため,下側は撮影できませんが,2つのカメラで撮影した画像を編集することで360°の画像となります。高い技術力が必要ですが,画質が良いメリットがあります。

私は,実際に使用してみて,「これは将来ブレークする!!」と思いました。

2. 360度カメラの使い道(メリット・デメリット)

2.1 360度カメラの使い道(メリット)

どのような場面で360度カメラが有効かを見ていきましょう。

なお,360度カメラは,通常のデジカメモードで撮影することもできますし,360度で撮影した画像・映像を通常の2Dで出力することもできますので,360度カメラは通常のデジカメとしての機能もあります。

①全体の風景や雰囲気を掴みたい場合

旅行等できれいな風景を撮影する場合,通常のカメラでは1方向の画像だけになってしまい,全体の雰囲気はどうなっているか気になる場合はありませんか。

特に壮大な景色の場合,360°の全方位を撮影できると雰囲気がつかめるので非常に便利です。

さらに,スポーツ観戦やライブ等の大人数が集まるイベントの場合,観戦者を含めて360度全体が映ると臨場感が良く伝わります

 

②とりあえず全体を撮影して必要に応じて後で確認したい場合

通常のカメラだと対象をあらかじめ決めて撮影しますが,360度カメラは対象が決まっておらず後でどこを確認するかわからない場合に便利です。

例えば,賃貸物件の内覧では,360度カメラで室内を撮影しておけば,賃貸を希望する人はその画像から各々気になったところを確認することが出来ます。ホテルの設備紹介にも同じ使い方が可能です。

他にも,何らかの施設の点検なども同様で,とりあえず360度カメラで画像や映像を残しておけば,後で現場に行かずとも確認ができるので非常に便利です。

 

③自分の体で死角になる箇所を撮影したい場合

当たり前ですが,自分の背中などは直接見ることができないので,鏡や他人に確認してもらうことが多いと思います。

しかし,360度カメラを使えば,首や背中のムダ毛,後頭部の薄毛等の状況等,自由に自分の死角を確認することが出来ます。使い方も簡単で,自撮り棒で360度カメラを自分の背中側に配置して撮影するだけです。ちなみに,自撮り棒は撮影時に映りません。

 

④機能がアップデートされる

プラグインなどの機能が追加されるため,時間が経つ頃に便利な機能が追加されます。

このような機能の増強は,通常のデジカメではありません。

 

2.2 360度カメラのデメリット

一方,360度カメラのデメリットは以下です。

①カメラの購入費用がかかる

当たり前ですが,360度カメラの購入が必要です。費用は,機種によりますが,3万円以上程度からとなります。
(費用は,本記事の「4.オススメの360度カメラ」をご覧ください。)

 

②撮影したファイルを専用アプリ(無料)で変換する手間がかかる

360度カメラで撮影した画像・映像をスマホやPCで見るのに専用のソフトが必要です。

専用ソフトはカメラメーカーが無料で配布しているため費用はかかりませんが,ファイルを変換するのに手間かかります。

 

③撮影したデータを見るのに専用アプリ(無料)が必要で手間がかかる

撮影した静止画・動画を見るには,②と同様にカメラメーカーから配布されている専用アプリ(無料)を使用する必要があります。

一度インストールすれば良いのですが,いつと違うPCで閲覧しようとした場合,そのPCにアプリをインストールする必要があります。

 

④カメラのレンズがデリケートで傷がつきやすい

魚眼レンズが凸型になっているので傷つきやすく,デリケートなカメラの構造です。もし傷がついたら,撮影する写真に全てその傷が映りこむことになります。

そのため,カメラのレンズには常に保護用のキャップ等をつけておく必要があります。
そのため,使用するのにやや手間と感じる場合があります。

【魚眼レンズの凸部】

3. 360度カメラの使い方

360度カメラについて,各段階での使用方法の概要を以下に示します。

購入するカメラによって使用方法は少し異なりますが,基本的な流れは同様です。

使い方は比較的簡単なため,デジカメやPC機器を普段使用する人なら特に問題なく使用できると思います。

 

撮影準備(購入後)

  • スマホで遠隔操作するため,スマホに専用アプリを入れる
    (アプリをいれなくてもカメラ本体のボタンを押して撮影可能)
  • スマホと360度カメラをwifi等で接続する(必ずカメラの電源を入れる)
  • PCで撮影した静止画・動画を編集するため,専用アプリを入れる。
  • カメラによっては,撮影したデータを保存するSDカードを購入する必要がある。
    (記憶媒体が内臓されているカメラもある)

     

撮影

  • 撮影はカメラのボタンを押すか,スマホで遠隔操作するかのどちらかになります。操作は非常に簡単なので,特に迷うことはないと思います。
  • 撮影した動画・映像はスマホで確認できます。ただし,長時間の映像はファイルが重いためスマホで確認するのは非常に時間がかかるので,映像をスマホで確認することは実質できないと思った方がよいでしょう。その場合は,PCにデータを取り込んだ後確認する必要があります。
  • 動画は非常に重いため,こまめにPCにファイルを移すなどの作業が必要です。SDカードで保存するタイプのカメラでは,このSDカードの容量を大きくすれば保存

 

編集・閲覧

  • 基本的にメーカーから,無料のデータ閲覧・データ変換・編集ソフトが公開されています。
  • ただし,その編集ソフトの機能は,メーカーそれぞれです。簡易的な編集しかできないものから,視点の変更などができるものもあります。
  • 有料ソフト(例えば,Adobe Premiere ProやFinal cut pro)を使えば,いずれのカメラの画像でもさらに高度な編集が可能です。
  • 360度カメラの動画,映像は,通常のファイル閲覧ソフトでは,うまく見られませんので,メーカーのデータ閲覧ソフト(無料)を使う必要があります。

 

4. オススメの360度カメラ

私は「RICOH THETA V」と「Insta360 ONE R」という2つの360度カメラを保有しています。

使い比べた結果や保有していないものの他のカメラを見聞きした結果を踏まえ,用途に合わせたオススメのメーカー,カメラを記載します。

4.1 カメラの選び方

オススメの機種(メーカー)

お勧めのメーカーは以下の3つです。360度カメラのメーカーは,いずれも360度カメラといえば

①THETA(シータ、リコー社)  ※唯一の日本製

②Insta 360(インスタ360、深圳嵐ビジョン社)

③Go Pro(ゴープロ、GoPro社)

 

カメラの形状

大きく分けて「カメラ形状」と「スティック形状」があります。

カメラ形状は撮影した画像をカメラ本体で見られるのに対し,スティック形状はスマホやPCを通じてでないと見られません。(カメラ形状の画面は小さく見にくいですし,どちらの場合もスマホで撮影した直後に閲覧できるので,私はどちらでも特に問題ないと感じています)

スティック形状はカメラを手に持ちやすいため,手持ちで撮影する際の使い勝手が良いです。カメラ形状は,360度撮影するため,普通のカメラのようにもって撮影すると,手が映りこみやすいです。ただし,自撮り棒をもって撮影する場合は,どちらでも問題ありません。

どちらも大差ないので,デザインの好み,使い勝手で決めるのが良いでしょう。

旅行の時に使用する場合,自撮り棒なしで手軽に撮影したい場合が比較的多いため,普段使いとして用いるなら,スティック形状の方が好きです。


使用用途

「静止画メイン」か「動画メイン」かのどちらかによって,使用するメーカーを決めるのが良いでしょう。

どの360度カメラも静止画と動画の両方を撮影可能ですが,動画の手振れ補正の精度,動画の編集のしやすさが,各メーカーによって異なるためです。


静止画をメインにする場合は,「THETA(
リコー社)」が良いでしょう。理由は2つあります。

1つ目は静止画のデータを専用アプリで変換する手間が不要だからです。「Insta 360」と「Go Pro」は,静止画のデータを専用アプリで変換する必要があるため,少々面倒です。

2つ目は,「THETA」は静止画を撮影する際に撮影者を写さない設定(Time shift Shootingというプラグイン)が可能なためです。周囲の死角に隠れなくとも,撮影者を写さないようにできるのは,自然の写真を撮りたい時には非常に便利です。

動画をメインにする場合は,「Insta 360(深圳嵐ビジョン社)」か「Go Pro(Go Pro社)」が良いでしょう。手振れ補正機能が優れていること,無料アプリの動画編集機能が優れているためです。


静止画をメインに撮影するなら「リコー」,動画撮影を重視したいなら「Insta 360」か「Go Pro」
です。

静止画・動画のどちらをメインに使うか決めかねているなら「Insta 360」か「Go Pro」にしておけば,とりあえずどちらでも対応できます。

 

使いやすさ,サポート体制

使いやすさは,使用方法がメーカーのHPやインターネットで入手できるかで判断します。

3つの360度カメラは,いずれもインターネットで使い方を調べることができますが,「THETA(リコー社)」は日本メーカーのため,メーカーのHPでも使い方がわかりやすく書かれています

私もリコーを使用した際に,特に迷うところはありませんでした。唯一の日本メーカーのため安心感があります。

 

画質の解像度

解像度は、静止画と動画で分けて設定されています。

解像度はメーカーによる違いもありますが,同じメーカーでもカメラの種類によって異なります。

基本は,解像度と値段が比例関係にありますので,予算との兼ね合いから,欲しいカメラを選ぶとよいでしょう。

 

4.2 お勧めのカメラ7選(用途・価格・好みで選ぶ)

THETA、Insta360、GoProの3つの機種のうち、最低限あったほうが良い機能をもった機種を以下に整理します。全て全天球の撮影です。

これらの機種のうち、さきほどのカメラの選び方の視点と価格を踏まえ、購入するものを決めればよいでしょう。

静止画メインや使いやすさ重視なら日本メーカーの「THETA」,動画も使いたいなら「Insta360」か「GOPro」シリーズで,価格をもとに決めればよいでしょう。

価格が5~6万円するものは機能が高性能のため良いもの長く使いたい方、3万円程度のものは高性能モデルより機能が少し劣りますが、必要な機能は有しており最初の1台として購入するのが良いものです。

ここでの機種には紹介していませんが、iPhoneやiPadに取り付けるタイプの360度カメラもありますが、わざわざ取り付けるのが面倒だと思いますし、スマホ等を機種変更した場合に使えなくなる可能性がありますので、あまりお勧めはしません。

 

機種名 価格
(概略)
発売日 形状 防水 静止画
解像度
動画
解像度
その他
THETA SC2
(リコー社)
3万4千円 2019年12月 スティック型 なし 5367
×2688
4K
3840×1920
/29.97fps
静止画メイン&使いやすさ重視で最初の1台に最適
THETA V
(リコー社)
4万2千円 2017年9月 スティック型 なし 5367
×2688
4K
3840×1920
/29.97fps
 
Insta360 ONE R
(深圳嵐ビジョン社)

5万4千円
(ツイン版)

2020年1月 カメラ型 5m 4000
×3000
4K
4000×3000
/30fps
複数のカメラを組み合わせ可能
Insta360 ONE X2
(深圳嵐ビジョン社)
5万9千円 2020年10月 スティック型 10m 6080
× 3040
5.7K
5760 × 2880
/30fps
最新機種で解像度が良い。
高性能モデルのオススメ機種
GO PRO max
(GoPro社)
6万円 2019年10月 カメラ型 5m 16.6MP 5.6K  
HERO7 BLACK
(GoPro社)
4万円 2018年9月 カメラ型 10m 12MP 4K
/60fps
静止画・動画目的で最初の1台に最適

 

THETA SC2(リコー社)

日本メーカーのため,使用方法で迷うことがなりません。

価格が手ごろで,静止画の利用をメインとする方の最初の一台として最適です。

 
 

THETA V(リコー社)


「THETA SC2」は内蔵記憶容量が14GBに対して,「THETA V」は19GBと容量が大きくなっています。

また,静止画撮影時に撮影者を削除できる「Time shift Shooting」などのプラグインを利用可能なことがあげられます。

「THETA SC2」よりも高度な撮影方法をしたい場合に適しています。さらに高画質な機種「THETA Z1」もありますが,価格が11万円程度もするため,コスパが悪いです。

 

Insta360 ONE R (深圳嵐ビジョン社)

カメラの部品を取り外し可能で,4K広角と魚眼レンズ(360度カメラ)の使い分けが可能です。(4K広角は画質がイマイチなので,実際は360度カメラしか使いません。)

カメラ形状のため,撮影した画像等をカメラから直接確認可能です。また,水深5mまでの防水対応です。

動画の手振れ補正機能に優れているため,静止画だけでなく,動画やその編集も使いたい方に適しています。

 

Insta360 ONE X2 (深圳嵐ビジョン社)

2020年10月発売の機種で,「Insta360 one R」よりも高解像度です。水深10mまでの防水機能もあります。

静止画・動画のどちらも使い,高性能機種を探している方にオススメ機種です。

私が高性能機種を買うなら,この機種にします。

 

Go Pro MAX (GoPro社)

メーカーは異なりますが,性能は「Insta360 one X2」に近く,解像度が良いうえ,動画の手振れ補正に優れています。

「Insta360 one X2」と「Go Pro MAX」のどちらにするかは好みによります。

 

HERO7 BLACK (GoPro社)

「Go Pro MAX」よりも価格が安くなっている一方,解像度等の性能を落とした機種です。

費用を抑えたうえで,静止画・動画のどちらも使いたい方に適しています。

 

5. まとめ

本記事のまとめを以下に記載します。

  • 通常のカメラだと撮影可能は画角が100度強程度なのに対し,360度カメラは360度を全て撮影できるカメラです。静止画も動画も両方撮影可能です。
  • 360度カメラは,壮大な自然全体の雰囲気を掴みたい場合,スポーツ観戦やライブ等の大人数が集まるイベントの臨場感を伝えたい場合などに便利です。
  • また,賃貸の部屋の撮影など,特に対象が決まっていないものの,とりあえず全体を撮影したい場合にも活用されています。
  • 360度カメラの費用は3~6万円程度です。静止画・動画のどちらをメインにするか,価格,使いやすさ,デザイン等の好みで決めればよいでしょう。
  • 静止画メインや使いやすさなら日本メーカーの「THETA」,動画とその編集をしたいのであれば「Insta360」か「GOPro」シリーズが良く,あとは価格でどのシリーズにするかを決めればよいでしょう。