社会情勢

21世紀の世界覇権国争い「アメリカvs中国」について ‐「米中戦争前夜」を読んだ考えたこと‐

歴史的に,世界覇権国(世界ナンバー1の国)と世界ナンバー2の国の対立は,戦争に発展する可能性が高いことが示されています。

現在の世界覇権国はアメリカ合衆国,それを追う世界ナンバー2の国は中国であり,中国のGDP(購買力平価ベース)は,2014年にアメリカを追い越しました。

この2つの国の対立は,相手国の関税を引き上げることや,ファーフェイ製品のアメリカへの禁輸などの貿易戦争がすでに勃発しています。
また,新型コロナウイルス(COVID-19)は,中国武漢の研究所から漏れた可能性をアメリカのトランプ大領領が指摘・非難する一方,中国の外務省が「アメリカ軍が中国武漢に新型コロナウイルスを持ち込んだ」と言い返すなど,現時点で事実関係は不明確なものの2国間の対立がより深まっていることは間違いありません。

アメリカ・中国の両国と密接に関係がある日本にとって,この二国間の対立は決して対岸の火事ではなく,今後の国内及び世界情勢を左右する重要な事項です。

本記事は,アメリカと中国の対立について書かれた「米中戦争前夜」(著者:グレアム・アリソン)の概要を示し,その内容と追加で調べたことを踏まえ,今後の米中対立がどのような方向に進むかを,本ブログの管理人が予測・分析するものです。

 

目 次

1. 「米中戦争前夜」(著者:グレアム・アリソン)の概要

「米中戦争前夜」(著者:グレアム・アリソン)の概要を以下に記載します。

著者の「グレアム・アリソン」は,対外政策論、核戦略論が専門のアメリカの政治学者であり,ハーバード大学ケネディ行政大学院の初代院長です。

新興勢力の国が既存の覇権国にとって代わろうとするとき,戦争が生じる場合が多いことを,「トゥキディデスの罠」と表現しており,現在では新興勢力「中国」と覇権国「アメリカ」の戦争を危惧するとともに,戦争回避のためのヒント(方針)を示したものです。

本書は4部構成となっています。

第1部では,中国の台頭(成長)が示されており,その国の経済力を表すGDP(購買力平価ベース)では,中国がアメリカを上回ったことを示しています。

第2部は,新興勢力と覇権国の争いの歴史を調べ,そこから得られる教訓を示しています。各国の事例では,過去50年間で16ケースの争いがあり,戦争が生じたケースが12件,戦争を回避できたのは4件であり,戦争が生じる確率は75%と高いことを示しています。なお,この16事例には,日本の日清戦争・日露戦争,太平洋戦争も含まれています。

第3部では,アメリカと中国の争いの予兆として,中国が覇権国の座を狙っていることや,戦争に至るまでの想定シナリオが5つ示されています。具体的なシナリオとしては,海上での偶発的な船舶の衝突などから戦争に発展するシナリオ,台湾の独立にアメリカが肩入れをして中国との戦争に発展するシナリオ,北朝鮮の崩壊による混乱から米中戦争に発展するシナリオ,貿易戦争から軍事戦争に発展するシナリオなどが想定されています。

第4部では,過去500年の16事例のうち,戦争を回避した4事例をもとに,米中戦争を回避するための12つのヒントを提唱しています。具体的には,賢い国家指導者を擁すること,米中で経済的な相互依存をすること,代理戦争に巻き込まれないために同盟関係を結ばないことなどが示されています。

現在は,貿易戦争だけでなく,新型コロナウイルスの責任の擦り付け合いが生じており,本書では想定していなかったシナリオになっています。
しかし,過去の歴史を学ぶとともに,その歴史から現在の類似点・相違点を考えることが将来を予測するために重要であり,本書はそのことを考えさせてくれる良書でした。

日本は,アメリカの同盟国であるとともに,中国とは地理的に近いうえ貿易等の重要国となっていることから,米中の争いは日本の社会情勢に大きな影響を与えることとなります。
将来の米中関係を考えるうえで,一読する価値のある本だと思います。

なお,著者の「グレアム・アリソン」は,「
リー・クアンユー、世界を語る
」の著者でもあり,その本も勉強になった良書だったことから,私のお気に入りの著者の一人となりました。

 

2. 世界覇権国の定義と各国の情勢

世界覇権国(=覇権国家とも言う)の明確な定義はありませんが,「世界経済の覇権を握るのは日本である(著者:木下栄蔵)」によれば,軍事力,経済力,文化的な影響力などで,他国を圧倒するような力を持つ国とされています。

そこで,①軍事力②経済力③文化的な影響 の3項目について,上位の国をそれぞれ見ていきましょう。

①軍事力

軍事力は,「グローバル・ファイヤーパワー(Global Firepower)」というHPで,人口(総人口,軍隊の人口),兵器,地理,天然資源,軍事費など50以上の項目をもとにランキングされており,2020年版では,1位がアメリカ,2位がロシア,3位が中国です。

したがって,現時点において,最も軍事力を有する国はアメリカということになります。

ちなみに,4位がインド,5位が日本となっています。平和を目指す日本の軍事力が世界的にこんなに大きいというには非常に違和感があり,考えさせられるものがあります(この記事では,日本の軍事力については触れません)。

 

②経済力

国の経済力を表す指標で最も一般的なのは「GDP(国内総生産)です。これは,その国に住む人によって1年間に生み出されたモノ・サービスの付加価値の合計額を示します。

少しわかりにくい定義なのですが,その国で生産されるモノやサービスの価値が高いほど大きくなりますので,例えば農業で野菜を生産するよりも自動車を生産する方がGDPは大きくなります。また,その国全体で生産した価値の合計のため,人口が多いほどGDPが大きくなります。

ここで,世界銀行による2018年の「名目GDP」のランキングによると,1位がアメリカ(20.5兆US$),2位が中国(13.1兆US$),3位が日本(5.0兆US$)となります。
(名目GPDは,各国の物価の変動分を反映したGDPを示します)

ただし,これを購買力平価(PPP)ベースのGDPとした場合,1位が中国(25.4兆Int$),2位がアメリカ(20.5兆Int$),3位がインド(10.5兆Int$)となります。(日本は4位で5.4兆Int$です。)
(Int$は購買力平価ベースで各国の比較を行う場合に用いた仮想的な通貨で,概ねUS$(アメリアドル)と同等と考えてください。)

この購買力平価(PPP)ベースのGPDというのは,モノやサービスの値段を基準にした為替レートを用いてGPDを補正したもので,簡単にいうと各国の物価に応じて補正したGDPです。
購買力平価(PPP)ベースのGPDは,各国の全体的な経済状況を把握するのに優れた指標とされています(米中恐慌前夜のp.24参照)。

したがって,国全体の経済力としては,中国が最も栄えていることとなります。

なお,国民一人当たりの豊かさを表す指標は,一人当たりのGDP(GPD÷国の人口)で評価しますが,今回は国全体としての経済力のため,一人当たりのGPDは用いません。
(参考までに,世界銀行発表の2018年の購買力平価(PPP)ベース一人当たりGDPは,カタールが1位であり,ガス資源が豊富であることと人口が少ないことが要因と考えます。)

 

③文化的な影響

文化的な影響は,抽象的な項目のため理解や指標化が難しいのですが,「ソフトパワー」が該当します。ソフトパワーとは,ジョゼフ・ナイ(アメリカの国際政治学者)が提唱した概念で,①文化②政治的な価値③外交政策 が世界へ与える影響のことです。ソフトパワーの対義語は,軍事力・経済力のハードパワーです。

ソフトパワーの各国のランキングは,イギリスのブランドファイナンス社(Brand Finance)が,ビジネスと貿易、ガバナンス体制、国際関係、文化と遺産、メディアと情報発信、教育と科学、民族と価値観の7分野から,知名度,影響力,国際的な信頼(世評)を指標として数値化し,毎年発表しています。

なお,ソフトパワーの各国ランキングの報告書は,以下のブランドファイナンス社HPから無料でダウンロードできます。(閲覧するために登録が必要)
https://brandirectory.com/globalsoftpower/

これによると,2020年のソフトパワーランキングは,1位がアメリカ,2位がドイツ,3位がイギリス,4位が日本,5位が中国です。中国のランキングが低いのは,「メディアと情報発信」が上位国のなかでも突出して低く,報道規制等の情報統制が行われているためと考えられます。

なお,日本は「ビジネスと貿易」でトップの点数なのに対し,「国際関係」と「メディアと発信力」で比較的低い点数となっています。これは私のイメージとも合致しており,アメリカに追随する国際関係,記者クラブという閉鎖的な体質,日本語のため海外への発信力の弱さなどが反映されていると考えています。

 

④軍事力・経済力・文化的な影響に関する各国のまとめ

上記で示した「軍事力」,「経済力」,「文化的な影響」について,上位5ヵ国を以下の表に整理しました。

3項目を並列して記載しておりますが,特に重要な項目は,直接的な影響力がある軍事力と経済力です。
文化的な影響も世界覇権国として必要なものとは考えますが,世界覇権国になり時間が経過するにつれ,その影響度が大きくなるものと考えています。

結果としては,いずれも分野もアメリカが1位か2位を占めており,世界覇権国であることが伺えます。

一方で中国は,経済力で1位となっており,1分野でも現在の世界覇権国のアメリカを追い越したことは特筆すべきことです。将来的な予測を見ても,2か国のGPDの差は広がるばかりであり,中国がアメリカを脅かす存在であることは間違いありません。
また,軍事力に関しては,アメリカは軍事費を縮小する方針に対して,中国は現時点で応じておらず,軍事力でもアメリカを追い越すつもりと読み取れます(関連記事はコチラ)。

【軍事力,経済力,文化的な影響の上位5ヵ国】

  軍事力 経済力
(PPPベースのGPD)
文化的な影響
(ソフトパワー)
1位 アメリカ 中国 アメリカ
2位 ロシア アメリカ ドイツ
3位 中国 インド イギリス
4位 インド 日本 日本
5位 日本 ドイツ 中国

 

3. 世界覇権国の変遷

現在の世界覇権国はアメリカであり,それを中国が追っている構図を「2.世界覇権国の定義と各国の情勢」で示しました。

ここでは,1500年頃から現在において,世界覇権国の変遷を以下に整理しました。

【世界覇権国の変遷】

年代 世界覇権国 No.2の国 備考
1500年代
(16世紀)
ポルトガル スペイン ・大航海時代
 (海運の争い)
・航海技術の向上
1600年代
(17世紀)
オランダ イギリス ・大航海時代
 (海運の争い)
1700~1800年代
(18~19世紀)
イギリス フランス,ドイツ
(時期により異なる)
・産業革命
1900年代
(20世紀)
アメリカ 中国 ・IT技術の進化
2000年代
(21世紀)
中国 ロシア?ドイツ?
(現時点で不明)
・AI技術の進化,5Gの誕生
・一帯一路等のインフラ整備の推進

それぞれの時代の世界覇権国の変遷について,その概要をみていきましょう。

 

①1500年代(16世紀):ポルトガル(覇権国)vsスペイン

1500年代は,大航海時代でポルトガルとスペインが海外へ植民地化争い行った時代です。この時代に,航海技術が大きく発達しました。

しかし,航海や植民地を維持する費用の増大,オランダの独立(旧スペイン領)などから,2国の力が衰退していきます。

なお,フランシスコ・ザビエル(ポルトガルの使者)が日本に来たのもこの時代です。キリスト教の布教活動で日本に来たとされていますが,当時は植民地化を進めた時代であったことを考えると,本当の目的は日本を植民地化することだったと推測します。

だって,この時代に海外にキリスト教を広めたところで,何のメリットがあるのかわからないですもん。

 

②1600年代(17世紀):オランダ(覇権国)vsイギリス

1600年代は,ポルトガルとスペインの衰退とともに力をつけたオランダが世界覇権国になります。

この時代も大航海時代であり,オランダも海外への植民地化を進めます。ただし,オランダ東インド会社(1602年設立の世界初の株式会社)が設立され,植民地の貿易の仕組みを作り,効果的に貿易利益を上げました。この点がポルトガル・スペインの植民地経営と異なります。

また,1609年にはアムステルダム銀行を設立し,金融面の中核的役割を担ったこともオランダに反映をもたらした要因です。

しかし,フランスとの仏蘭戦争及びイギリスとの英蘭戦争(第三次英蘭戦争は勝敗不明確)で疲弊し,オランダの衰退が生じることとなります。

 

③1700~1800年代(17~18世紀):イギリス(覇権国)vsアメリカ

オランダの衰退後,ナポレオンが率いるフランスの戦争(ワーテルローの戦い)に勝利したイギリスが次の世界覇権国となります。この時代には,蒸気機関車の発明などの産業革命が生じ,工業化の進展と国の繁栄が生じます。

また,イギリスは世界最大の海運国家であり,世界中に植民地を有していました。その規模は,全盛期には全世界の陸地と人口の4分の1を占めていました。

しかし,第一次世界大戦・第二次世界大戦による疲弊(いずれもイギリス側が勝利),イギリス領植民地の独立そしてアメリカの台頭により,世界覇権国がアメリカに移行することとなります。

 

④世界覇権国の変遷から把握できたこと

以上の世界覇権国の変遷から,次のことが把握できました。

  • 世界覇権国の変遷は,概ね100年単位(イギリスの例のみ200年間)の周期で生じています。
  • 世界覇権国の交代は,覇権国の衰退及びNo.2の国の台頭によって生じています
  • 世界覇権国の衰退は,戦争により敗れた場合だけでなく勝利した場合でもその後の経済的な疲弊によって生じている場合があります。
  • 各時代に,航海技術,産業革命,IT技術などの技術革新が生じています2000年代(21世紀)はAI技術の躍進や5Gの誕生(ネットワークの高速化)と考えます。また,一帯一路ニカラグア運河の整備のように,中国による交通インフラ整備が進められており,中国を中心とした交通網が発達する時代とも考えます。

 

4. 今後のアメリカと中国の対立を予想

今後のアメリカと中国の対立について,私の考えを以下にまとめます。

結論は,アメリカと中国の経済戦争はさらに激化するが,直接的な軍事戦争は生じない。ただし,両国の代理戦争は生じる可能性が十分あると予測します。

上記の結論に至った考えを,少し掘り下げて以下に記載します。

 

アメリカと中国の直接的な軍事戦争は生じない


アメリカと中国の直接的な軍事戦争の可能性は,極めて小さいと考えます。理由は,以下の3つです。

①両国間の戦争をするには,相応の理由が必要であり,その理由が作れないと考えられるためです。仮に,相応の理由がなく先行攻撃を仕掛けた場合,その国は世界中を敵に回すことになり,結果的に自国の敗北する可能性が高いためです。
②お互い核兵器を有する国のため,全面的な戦争になった場合,お互いに相当の被害を生じると予想されるためです。
③アメリカは経済的に疲弊しており,その立て直しが求められています。一方,中国は自国の経済発展を優先しており,戦争を望んでいないように見えるためです。

 

他国の代理戦争は十分起きうる

他国の代理戦争は,十分に起きうると考えます。アメリカが世界警察を扮して,他国への干渉及び資源の略奪を行い,それを中国・ロシアなどと対立する可能性があるためです。
現に,リビアやシリアを舞台に,アメリカとロシアの代理戦争が生じました。

中東(イラン,シリアなど),北朝鮮,ベネズエラなどの地域・国が危ない地域だと考えており,これらの国を舞台にアメリカと中国の代理戦争が行われる可能性が十分にあると考えています。

 

経済戦争の激化

中国は,アメリカ国債を1.1兆ドル(約120兆円)程度保有しています。アメリカの国債発行額は,年間で1兆ドル(約109兆円)程度であるため,同等規模の国債を中国が保有していることになります。

中国がアメリカ国債を一気に売却する可能性があり,その場合,アメリカ国債の暴落,アメリカのインフレ(中国が国債売却分のお金を印刷する必要があるため),基軸通貨の地位低下を招き,アメリカ経済がさらに疲弊します。

上記のような経済戦争の激化の可能性は,比較的高い確率で生じると想定しています。しかし国債を売却するのは各国の自由であり国際ルール違反では全くないため,アメリカが中国へ軍事戦争を仕掛ける理由にはなりえません。

 

ウイルス戦争の勃発

アメリカのトランプ大統領は,新型コロナウイルスは,中国の武漢研究所から漏れたものだと,指摘・非難しました。(例えばこのニュースに記載)

しかし,中国は,新型コロナウイルスはアメリカが製造し中国に持ち込んだもの可能性があると反論しています。(例えばこのニュースに記載)
また,イランも新型コロナウイルスはアメリカが製造した可能性があることを指摘しています。(例えばこのニュースに記載)

新型コロナウイルスが人工的に作成されたかどうかの真偽はわかりませんが,過去にも炭疽菌などのウイルス兵器が研究されていたことを踏まえると,人工的に製造された可能性は十分にあると考えます。

直接的な軍事戦争を仕掛けることは世界的な批難を受け自らの立場を不利にしますが,このようなウイルス戦争であれば,直接的な証拠が明確になりにくいため,対立が激化していく可能性があります。

ただし,相手国へ巻き散らかすウイルスの種類がそれほど多くあるとは思いませんし,何度もウイルスのまき散らし合いをしていると,さすがに世界中の国もその動向に気づくでしょうから,新型コロナウイルス(COVID-19)の後に新たなウイルスは頻繁には出てこないだとうと推測しています。

 

5. 中国の覇権国時代はいつ来るのか

中国の覇権国はいつ来るのかを,特に影響力の大きい,経済力,軍事力の観点から見てきましょう。

 

経済力

中国のGDP(購買力平価ベース)は,すでにアメリカを超えていることを「2.世界覇権国の定義と各国の情勢」で示しました。これは,国全体の経済力がアメリカを上回り世界一となったことを示しています。

経済面のキーポイントは,アメリカドルの基軸通貨がいつまで続くかにかかっていると考えています。すでに,人民元を基軸通貨とする動きが進んでいます(例えばこのニュース)。

基軸通貨:国際通貨の中でも中心的な地位を占める通貨で,通貨の異なる国際間での決済手段に使用される。現在はアメリカドルである。

アメリカは,多額の債務があるだけでなく,コロナ対策のために米国債を大量に発行しています。
アメリカで将来的にハイパーインフレ(国際会計基準の定めでは「3年間で累積100%以上の物価上昇」)が起きれば,基軸通貨として機能しなくなり,新たな基軸通貨(人民元かSDRが有力)となるでしょう。

SDR:国際通貨基金(IMF)に加盟する国が持つ「特別引き出し権」。5年間隔で更新され,2016~2020年はアメリカドル42%,ユーロ31%,人民元11%,日本円8%,イギリスポンド8%の割合で構成されている。

 
アメリカのハイパーインフレがいつ来るかは正確に予測できませんが,新型コロナウイルス対策でアメリカドルをすり散らかし借金がどんどん膨れ上がっているうえ,今後リーマンショックのような経済的な大インパクトが生じた場合,ハイパーインフレになる可能性があります。
私は,10年から20年後程度におきるだろうと思っています。

 

軍事力

中国が覇権国となるには,軍事力がアメリカと同等以上になることが求められます。なぜなら,直接的な軍事戦争にならずとも,軍事力が劣っていれば覇権国の地位を脅かられるためです。
極端に言えば,日本が経済的に豊かでも,軍隊を持たず自国を守れない国は覇権国になれないのです。

2020年の中国の軍事費は2370億ドルであり,アメリカの軍事費7500億ドルの約3割です。(出典:Global Firepower
現時点では両国間でかなりの開きがありますが,アメリカは軍事費を縮小しようとしているのに対し,中国はそのような気配がなく(例えばこのニュース),毎年7%程度の増加傾向にあります(例えばこのニュース)。

ここで,単純に中国の軍事費が毎年7%で増加する一方,アメリカの軍事費に変化がないものとすると,複利計算で17年後(2037年)に中国がアメリカの軍事費を上回る計算となります。

 

まとめ

中国が世界覇権国になる時期は,アメリカの衰退とそれに伴うアメリカドルの基軸通貨の地位低下,中国の軍事力の台頭が特に影響を及ぼすと考えます。


正確な時期の予測は難しいのですが,私としては20年後の2040年頃には,経済力だけでなく軍事力でもアメリカを追い越し,中国が覇権国となっていると推測しています。

上記では,経済力,軍事力の比較でしたが,中国は世界中で膨大なインフラ投資を行っており,世界的な影響力を強めており,ソフトパワーに関しても覇権国としての地位を強めています。