健康

体に良い水の条件をわかりやすく解説 【書評:体をつくる水,壊す水の書評】

私たちが毎日飲む「水」。この水によって,10年後の健康状態に大きく影響を及ぼすこと,水には体に良いものと悪いものがあることが「体をつくる水,壊す水」(著者:藤田浩鉱一郎)によって示されています。

この著者は,日常的に体に良い水を飲むことで,以下の写真のように,50代から74歳になっても老いている様子があまり見られないことを自らの体験をもって示しています。ハゲかかっていた髪の毛もフサフサになっています。

本記事では,「体をつくる水,壊す水」をもとに,健康に良い天然水の条件をわかりやすく整理するとともに,あなたが目指す体質改善や健康増進に応じて,適切な水選びができるようにするものです。
 

【帯には著者の髪がフサフサなど若返った様子がわかる】


目 次

1. 「体をつくる水,壊す水」の概要

「体をつくる水,壊す水」の著者である「藤田紘一郎」は,寄生虫学、熱帯医学、感染免疫学を専門としている医学博士です。

寄生虫や腸に関する健康法の書籍を数多く執筆しており,「腸をダメにする習慣、鍛える習慣」,「人の命は腸が9割」は,ロングセラーとなりました。

本書は,健康に良い水を求め,45年にわたって日本および世界を調査した結果であり,また著者が実践してきた「水飲み”腸”健康法」その30の秘訣を紹介するものです。

私は,過去に「元気なままで長生きしたければ「腸にいいこと」だけをやりなさい!」を読んで著者に対して良い印象を持っていたため,いくつかある天然水の健康法に関する本のうち,これを読むことにしました。

この本は,体に良い水だけでなく,悪い水の条件も記載しているため,健康のための水選びとして非常に参考になる本でした。

それでは,以降では,この本を読んで,特に役に立ったと思うことをお示しします。

 

2. なぜ体に良い水を選ぶ必要があるのか

私たちが体に良い水を選ぶ必要がある理由は,以下の3つです。

①毎日必ず水を飲むため,無理なく効率的に健康を作ることができる

人体の体は約60%を水が占めており,毎日約2.5Lの水を体内・体外に入れ替えています。

病気の発症は,遺伝子よりも,毎日の生活習慣による影響が大きいことがわかっており,毎日必ず摂取する水を「体により水」にすることで,無理なく,効率的に心身の健康を作ることができます。

 

②体に良い水が腸そして心身を元気にする

私たちが良い水を飲むと,健康の源である腸の働きが活性化され,免疫力が向上します。

これに伴い,心身の健康が増進させ,脳梗塞,心筋梗塞,がん,糖尿病,肥満などの生活習慣病から,うつ病などの心の病まで,抑制・予防することができます。

 

③水に含まれるミネラルはイオン化されているため体に吸収されやすい

私たちは,日々の食事から,カルシウムやマグネシウム等のミネラルを摂取しています。

しかし,どんなにミネラルの含有量が多い食品でも,人体は全てを吸収できるわけではありません。

一方,水に含まれるミネラルはイオン化されているため,摂取した分だけ体にそのまま吸収されていく特徴があります。

毎日の食事で不足するミネラルを,毎日の飲み水で補うという考えは,非常に効率的です。

 

3. 体に良い水の基本条件(特性,採水地・処理方法等)

体に良い天然水の選ぶ上での基本的な条件について,見ていきましょう。

以降に示す条件は,なるべく全てを満たすことが望ましいのです。

 

商品名が「ナチュラルミネラルウォーター」を選ぶ

商品名には,「ナチュラルミネラルウォーター」,「ナチュラルウォーター」,「ミネラルウォーター」,「ボトルドウォーター」などの記載があります。水の処理方法等でこの商品名の記載が決定されます。

基本的には「ナチュラルミネラルウォーター」を選びましょう。

以下は,各商品名の説明です。

ナチュラルミネラルウォーター」は,特定の水源から採水された地下水を原水とし,地層中のミネラルが溶け出している水です。また,抗菌を目的とした処理の方法も規定されており,沈殿・ろ過・加熱殺菌による物理的・化学的処理しか行っていない水です。この水が体に良いため,必ずこれを選びましょう。

ナチュラルウォーター」はミネラル量に規定のない水です。つまり,ミネラル分が少ないため,健康目的であれば,この水は避けましょう。

ミネラルウォーター」は,品質安定のために,ミネラルの調整や複数の天然水の混合,殺菌・除菌を目的とした化学的処理を行った水です。この水も余計な処理が行われているので,なるべく選ばない方が良いのですが,海洋深層水や温泉水は,飲料用に商品化する段階で,「ミネラルウォーター」となっている場合があり,この場合は特に問題ありません

ボトルドウォーター」は,処理方法に制限がなく,大幅な改変が行われた水です。この水は,もはや天然水でない場合もあるので,必ず避けましょう。

 

カルシウムとマグネシウムが豊富な硬水を選ぶ

水にはカルシウムとマグネシウムの溶存量に応じて,「硬度」が設定されています。

WHO(世界保健機構)による硬度の分類は以下のとおりで,硬度が高いほど,カルシウム・マグネシウムを豊富に含む水です。

日本の水はほとんどが軟水に分類されますが,体に良い水は,ミネラル分が豊富で体質改善や健康増進に寄与する硬水です。

ただし,赤ちゃんの粉ミルク用,腎臓に問題がある方,料理等で味を重視する場合には,軟水が適しています。

分類

硬度(mg/L)

適用

注意点

軟水

60未満

まろやかで飲みやすい

・お茶や紅茶,日本食の調理

・赤ちゃんの粉ミルク

・ミネラル含有量が少ないため,体質改善への大きな効果は期待できない

60~120未満

硬水

120~180未満

マグネシウムが多いほど,苦みのような独特の風苦が増す

・体質改善や健康増進

・赤ちゃんや腎臓に問題がある人には適さない

・マグネシウムを取りすぎると下痢などを起こしやすい飲みなれない場合は徐々に硬度を上げていく

180以上

※WHOの分類(日本の分類とは異なる)

 

弱アルカリ性の水を選ぶ

人間の体は,ph7.4程度の弱アルカリ性で保たれており,疲弊すると酸性化しますが,弱アルカリ性の水を摂取することで,活性酸素の害を防ぎ,老化や病気を抑制することができます。

また,アルカリ性の水を日常的に飲むことで,新陳代謝が促されます。

このことから,体によい水は弱アルカリ性であり,できればph8.0以上が望ましく,難しければ7.5以上にすると良いでしょう
(phは,7.0が中性,7.0未満が酸性,7.0より大きければアルカリ性)

 

非加熱の水(加熱消毒をしていない水)を選ぶ

腸を元気にして人体の免疫力を高めるには,非加熱の天然水が良いでしょう

加熱消毒すると,水の活性と溶存酸素(水に溶け込んだ酸素)がなくなるため,これらの効果や水のおいしさが失われてしまいます。

品名に「非加熱」と記載があるものを選ぶのが良いですが,必ず記載されているわけではありません。ラベルに書いてある情報以上を知るためには,ホームページを調べたり,場合によっては製造者へ問い合わせが必要です。

なお,九州では,水の規制が厳しく,飲料水として商品化する際にやむをえず加熱殺菌しているものがあります。通常は30行間の加熱殺菌をするようですが,5秒程度の加熱であれば,水の活性が失われにくいようです。

原材料名が井戸水・伏流水よりも鉱泉水・温泉水・鉱水のものを選ぶ

水は,どのような地層を通ってきたかによって,含有するミネラルの種類と量が異なります。

水の地層を大まかに把握するには,ラベルの「原材料名」に採水地の特徴が書かれています。

一般的には,「鉱泉水」,「温泉水」,「鉱水」は,ミネラルが豊富な良い水です。

一方,「深井戸水」,「朝井戸水」,「伏流水」,「湧水」も決して悪い水ではないのですが,「鉱泉水」,「温泉水」,「鉱水」にはミネラル含有量が少なくなります。

 

4. 体に良い水に含まれるミネラル等

水に含まれるミネラルの種類によって,体質改善,健康増進効果が異なりますが,全てのミネラルを多量に含むナチュラルミネラルウォーターは存在しないため,目的に応じた水を選択する必要があります。

以下では,水に含まれるミネラル別に,どのような効果があるかを見ていきます。

カルシウムとマグネシウムをバランスよく含む水

硬度が高い水ほど,カルシウムとマグネシウムを多く含みます。
ミネラル摂取という観点からは「硬水」がおすすめで,カルシウム2:マグネシウム1の比率で摂取することが理想的です。

カルシウムは,腸の運動を活発化させ,消火吸収の促進,免疫機能の活性化を促します。また,脳梗塞や心筋梗塞の予防に効果があります。

マグネシウムは,便秘改善効果や心臓病のリスク軽減効果があります。

ただし,乳児や腎臓に問題がある人は硬水を飲んではいけません。
また,マグネシウムは独特の苦みのようなクセがあるため,料理等の味を重視する場合には適していません。

 

シリカ(ケイ素)が豊富な水

シリカ(ケイ素)には,細胞壁を強化する働きがあり,骨粗しょう症の予防に役立つと考えられます。

また,体内のコラーゲンの生成を助ける働きがあり,美肌や薄毛対策に効果があります。美容意識の高い方などに好まれる水です。

「体をつくる水,壊す水」の著者である藤田紘一郎は,シリカが豊富な水を飲むことで,髪がフサフサになったと述べています(本記事の最初にある写真を参照)。

バナジウムを含む水

バナジウムは,糖尿病の改善効果が期待できます

ただし,バナジウムは,過剰摂取すると中毒症を招く恐れがあるため,天然水から自然に摂取するのは問題ありませんが,健康食品から摂取するのは避けた方がよいでしょう

 

サルフェートを含む水

サルフェート(硫酸塩)は,硬度が180以上の「超硬水」に含まれる場合が多く,高い利尿作用があるため,老廃物や食品添加物等の有害物質を排泄させるデトックス効果があります

美容意識の高い方などに好まれる水です。

また,利尿作用が高いため,悪酔い・二日酔いにも効果があります。

カリウムを含む水(海洋深層水)

カリウムは,だるさや疲労感の解消に役立ちます

ただし,カリウムは取りすぎると腎臓機能障害や不整脈を招く恐れがあります。

きちんとした食生活であれば,問題なくカリウムを補給できていますので,無理に補給する必要はありませんが,食生活が乱れており,カリウム不足だと思う方は,カリウムを多く含む水(海洋深層水など)で補給するのが良いでしょう

炭酸水

炭酸水に含まれる重炭酸イオンは,疲労物質を中和する働きがあり,疲労改善に効果があります

一方,炭酸水は弱酸性のものが多いため,大量に飲むと新陳代謝が滞り,かえって疲労感が増大するおそれがあります。
そのため,数は少ないのですが,弱アルカリ性の炭酸水を選ぶのが良いでしょう。

もし,ph7.0未満の弱酸性の炭酸水を飲む場合は,コップ一杯をさっと飲んで,だらだら飲み続けないことが良いでしょう。

ゲルマニウムウォーター

ゲルマニウムウォーターに含まれる有機ゲルマニウムには,抗がん,抗酸化,免疫機能の向上の効果が期待されていますが,科学的な実証は得られていません。

奇跡の泉として知られるフランス南部にある「ルルドの泉」では,有機ゲルマニウムが多量に含まれており,この水を飲んだ人が健康になった事例があります。

このような事例から,科学的な実証が現時点でないものの,健康増進効果があると思われますが,多量に摂取した場合の健康被害の恐れがあること,効果が科学的に証明されていないため,高価ゲルマニウムウォーターを無理に買う必要はないでしょう

アルカリイオン水

国が体に良い機能水として認めたもので,厚生省は,慢性下痢,消火不良,胃腸内異常発酵,制酸,胃酸過多に有効とされています。

また,アルカリ性の水のため,活性酸素の害を消してくれるのに有効です。

ただし,あえて人工的なアルカリイオン水を飲むよりは,弱アルカリ性の天然水を飲んだ方が良いでしょう。

 

水素水

水素水は,水素と体内の活性酸素が結びつき,無毒化することを目的として,人工的につくられた水です。

体内の活性酸素の無毒化に加え,記憶力低下やボケの抑制が期待できます
近年では,水素水が筋肉疲労を抑制する効果があるとのことで,スポーツジムでも販売しているところが増えています。

天然水でも,水素水のように還元力の高いものがありますので,あえて人工的な水素水を選ばなくても良いでしょう

 

5. 体に悪い水の条件

次に,体に悪い水の条件を以下に示します。これらの水は,飲むことをなるべく避けた方が良いでしょう。

水道水

日本の水道水は特に塩素が多く,この塩素が腸内フローラを荒らし,免疫力の低下等を招きます

また,トリハロメタンなどの発ガン性の恐れがある物質も含まれています。

水道水を飲むことは極力避けた方が良く,もし飲む場合は,浄水器か整水器を用いることが良いでしょう

 

純水・蒸留水

純粋・蒸留水は,水道水に含まれる不純物を取り除いた「純度の高い人工的な水」で,水に含まれるミネラル分も取り除かれています。

通常の天然水は,様々な地層を通過する中で,水にミネラルが溶け込んでいきますが,このようなミネラル分がない純粋な水は,自然界には存在しにくいものです。

このような純水・蒸留水は,ミネラル分が含まれていないため,純粋や蒸留水を飲んだ場合,体が保持しているミネラル分が溶け出して奪われてしまう危険性があります。

なお,蒸留水の水槽に淡水魚を入れると,溶存酸素がないため死んでしまうようです。このことからも,純粋や蒸留水が体にとって害のある水であることが伺えます。

純水,蒸留水は,非常用の保存水やウォーターサーバーに用いられていますが,健康を害する恐れがあるため,非常時以外は飲まない方がよいでしょう。

 

沸騰させた白湯

加熱殺菌すると,水の組成が変わり,生理活性が失われます。また,酸素と炭酸ガスも失われてしまいます。

このため,沸騰させた白湯も,せっかく体にとって良い成分を失わせることになるため,常温や冷やして飲むのが良いでしょう

なお,白湯を飲む健康法が有名であり,暖かい飲み物を飲むことは,健康にとって良いのでしょうが,この記事では,水のミネラル等の成分に着目しており,水の温度には着目しておりません。

 

6. まとめ

本記事は,「体をつくる水,壊す水」(著者:藤田紘一郎)を踏まえ,体に良い水・悪い水を調べました。

以下に本記事のまとめを記載します。

  • 私たちは,毎日必ず水を飲むため,体によい水を選ぶことで,無理なく効率的に健康を作ることができます。
  • 水に含まれるミネラル分は,イオン化されているため,摂取した分だけ身体にそのまま吸収されやすく,毎日の食事で不足するミネラルを毎日の飲み水で補うことは,非常に効率的です。
  • 体に良い水の基本的な条件(採水地・処理方法等)は,以下のとおりです。
  1.  商品名が「ナチュラルミネラルウォーター」
  2.  ミネラルが豊富な硬水
  3.  加熱消毒していない水
  4.  原材料名がなるべく「鉱泉水」,「温泉水」,「鉱水」のもの

     

 

  • 体によい水に含まれるミネラル等は,目的とする体質改善・健康増進効果により,選ぶ必要があります。ミネラル分別の期待できる効果は,以下のとおりです。

  1. カルシウム・マグネシウム:消火吸収の促進,免疫機能の活性化,脳梗塞や心筋梗塞の予防
  2. シリカ:骨粗しょう症の予防,美肌や薄毛対策
  3. バナジウム:糖尿病の改善
  4. サルフェート:デトックス効果
  5. カリウム:だるさや疲労感の解消
  6. 炭酸水:疲労改善
  7. ゲルマニウム:抗がん,抗酸化,免疫機能の向上(科学的な検証はされていない)
  8. アルカリイオン水:活性酸素の無毒化
  9. 水素水:活性酸素の無毒化,記憶力低下やボケの抑制

 

  • 体に悪い水は,以下の通りです。これらの水はなるべく飲まないようにする方が良いでしょう。
  1. 水道水:塩素が多く含まれるため,腸内フローラを荒らし,免疫力の低下
  2. 純粋・蒸留水:ミネラル分が含まれていないため,身体が保持しているミネラル分が溶け出して奪われてしまう危険性
  3. 沸騰させた白湯:加熱殺菌すると水の活性や酸素・炭酸が失われる
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